表紙絵から 有楽町付近 コメントをどうぞ 月刊読売 昭和26年10月1日 有楽町付近 石川滋彦 九月といってもまだ残暑が続くが、空の感じだけは、雲の動きも色も秋である。地上の街々はまだまだ暑い。ガードの上には国電が重い音をたて、路上には大きなバスがディーゼルエンジンの特異な響きをきかせる。交通信号を待つ人が舗道にいっぱいあふれ、車の途だえる車道は案外ひろびろしている。街路樹が黄葉するのはまだまだである。有楽町のガードあたりの風景である。